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Looking for Eric

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お久しぶりです。怒涛の夏を乗り越え、少し自分自身のタスクにも余裕ができたように感じます。そして実は新たに店頭に販売スタッフが加わったということもあって自分の自由な時間を確保できつつあります。そんなこともあって退勤後に部屋でまったりとスナック菓子でも食べながら映画を観るのが最近の至福の時間です。ちなみに最近のお供は堅揚げポテトの関西だし醤油味です。おそらく関西限定なので遠方からお越しの方はお土産に是非。店の隣のドラッグストアで売っています。

今回は最近観た映画の中でも面白かったものをご紹介したいと思います。何本かあるのでとりあえず今回は第一弾ということで、元マンチェスター・ユナイテッドのレジェンド “エリック・カントナ” 本人が出演する「エリックを探して」という作品をご紹介します。

そもそもエリック・カントナって誰?って方にまずは簡単な説明を。

エリック・カントナはフランス代表の元サッカー選手。マンチェスター・ユナイテッドに所属していた頃が特に脚光を浴びていたレジェンドです。トレードマークはユニフォームの襟を立てた着こなし方です。世代の方は真似をしていた方もいるんじゃないかと。練習にも精魂を傾けるフットボールへの真摯な取り組みはチームメイトに多大な影響を与え、いつしか彼は「キング」という愛称で親しまれました。

しかし、唯我独尊の態度で孤高の存在であったカントナは、他人の意見や規範による柵を徹底して嫌い、厳格な態度で規律を重んじる当時の監督 ”アレックス・ファーガソン” の流儀に括られることもありませんでした。そんな彼の存在も大きく、マンチェスター・ユナイテッド移籍1年目で26年ぶりの優勝に導き、低迷期を迎えていたクラブの再建に大きく貢献した彼は2001年にマンチェスター・ユナイテッドの「20世紀最高のサッカー選手」に選ばれています。

時に彼は気性の荒さと言動から常に問題を起こすサッカー界の異端児でもありました。中でも最も有名なのが「カンフーキック事件」です。退場処分を言い渡されたカントナに対して煽りを入れた相手サポーターに対してカンフーキックをお見舞いする始末。これにより約4ヶ月間の社会奉仕活動、1年弱の出場停止処分を受けましたが、その後の会見で「カモメがトロール船を追うのは、鰯が海に投げ込まれると考えているからだ。どうもありがとう」という名言を残しています。カモメ=マスコミ、漁船=カントナ、イワシ=おいしいネタ、ということをジョークを交えた表現も彼らしく、現代にも語り継がれる名言となっています。

なんとなくエリック・カントナが伝説的な選手ということは伝わったんではないでしょうか。実は今回ご紹介する「エリックを探して」という作品は、引退後に俳優としてセカンドキャリアを歩んでいたエリック・カントナ本人が着想し、ケン・ローチ監督に持ち込んだことから製作が始まったそうです。本人が本人役で映画を撮ろうと持ち込んだというなんともぶっ飛んだ発想は彼ならではの行動と言えるでしょう。

ケン・ローチ監督は以前ブログで紹介した「SWEET SIXTEEN」を製作した監督でもあり、一貫して労働者階級に焦点を当てた作品を製作し続けるイギリスの映画監督・脚本家です。今作もマンチェスターという工業地帯を舞台に労働者階級の遣る瀬ない感情を上手く描いていました。独特な訛りをリアルに表現するためにキャストをマンチェスター及び北イングランド出身者で固めているというところにも監督のこだわりの強さを感じました。

作品のあらすじは、労働者とサッカーの街、マンチェスターで、人生のどん底にいた中年の郵便配達員エリック(カントナではない)が、熱狂的に憧れるスーパースターのエリック・カントナに導かれ、仲間と共に人生の危機を脱するというストーリーです。

主人公のエリックはバツ2で2度目の妻の連れ子、10代のライアン、ジェスとの3人で暮らしています。2人の子供は家ではやりたい放題。

失敗続きの人生で途方にくれていたエリックは自室に飾っているエリックカントナのポスターに向かって「俺の憂鬱の理由がわかるか?一生後悔するような失敗をしたことは?」と、話しかけます。すると背後から、「君はどうだ?」と尋ねる声がし、振り向いてみるとそこにはエリック・カントナ本人が立っていたのです。

エリックの憂鬱は30年前に恋に落ちた最初の妻リリーの存在です。娘のサムが生まれましたがすぐに別れ、以来会わずにいました。カントナはエリックと向き合い助言を続け、人生に良い兆しが見え始めます。リリーとも再会を果たし、当時すれ違ってしまっていた2人の思いをリリーに打ち明け、次第に関係は良くなっていきます。 

しかし息子のライアンとジェスがギャングと関係を持つようになり、クラブでの銃撃事件などのけつを持たされたりと都合の良い駒にされてしまいます。果たしてエリックはカントナの助言のもとで人生を逆転できるのかというのが今作のあらすじです。

感想としてはカントナの勇気を持って一歩踏み出すこと。仲間を信頼して強く団結すること。という当たり前のようで難しい人生の教訓に色々と考えさせられました。

そしてエリック・カントナが出てきた最初のシーンで放った「最も美しい思い出が場合によっては最も辛い」というセリフが印象的でした。美しい思い出も今となって思い返すと胸を刺すようなときもあるものです。そんな過去とも向き合って強く生きようと考えさせられました。

そしてカントナの存在はもちろんですが、郵便局員の同僚である友達の存在がとにかく大きかったです。仲間の悩みに真摯に向き合い支える姿には胸を打たれます。特にミートボール(どんな名前やねん)がかなり良い。勝手に名脇役賞を捧げたいくらいです。どれだけ悩みがあっても話を聞いてくれる人がいるだけで幸せなことだということは誰しも忘れがちなんではないでしょうか。「なんで自分だけ…」と思ってもきっと支えてくれる人が周りにいるということは忘れてはいけないし、それだけで幸せなことなんだと強く思いました。

あと劇中に出てくるサポーターが着用しているユニフォームはマンチェスター・ユナイテッドの07/09シーズンのものです。個人的に僕のドンピシャな世代で、丁度この頃から海外サッカーにも興味を示した気がします。クラブ世界一になったのもこのとき。ガンバ大阪と対戦したことを今でも鮮明に覚えています。当時の7番であったクリスティアーノ・ロナウドのユニフォームを着て公園でサッカーをしていたのも懐かしい思い出です。将来こんな仕事をしているとも思っていなかったので当然気づいた頃には親に処分されていました…。

2人の息子ライアンとジェスもユナイテッドのサポーターでカジュアルな格好にインナーとして差し込んでいて、いかにも現地サポーターというスタイリングが良い意味で飾り気がなくてかっこよかったです。(ジェスがとにかくかっこいいんですが写真が見つかりませんでした)

コメディ要素も多くて、サッカー映画というよりサッカーが身近にあるイギリス人を描いた映画といった感じ。いわば労働者の味方であるケン・ローチ監督が描いた本作は、サッカーファンでなくても十分に楽しめる作品です。興味持っていただいた方は是非。

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